思い続けたら叶うかもね。
置き屋の帰り道、リウ゛ァルと離れて家路に着くスザクの頭の中には先程ミレイに言われた言葉が繰り返し流れて止まらなくなっていた。
今までだって強く願い続けていた。
一目見て気になってしまったあの遊女に会いたいと。
更に強く願えと言うのか?
スザクの想いは膨らみすぎている。
スザクは溜め息を吐きながら、目線をやや落とし気味に歩く。
その時だった。
「ぁっ…」
何かにぶつかり、その何かが軽く声をあげる。
「す、済みません…」
スザクはとっさに謝った。
そして顔を上げて驚く。
目の前には黒い着物の美人が立っていたのだ。
艶やかな烏の濡れ羽色をした髪に、紫水晶の瞳。
着物も黒地に紅い華が咲いていた。
そう、ぶつかった人物はスザクの想い人だったのだ。
「き、君は…」
とっさに逃げようとした想い人をスザクは腕を掴んで捕まえた。
「は、放して下さいっ」
「放さない」
強い意思を宿した目と、強く掴んだ手はその人を射ぬいたまま離れる事はない。
時がそこだけ止まったかのように、無言の時が二人の間を流れる。
蛇に睨まれた蛙と蛇。
色気も無い表現だが、そう表現するのが妥当な雰囲気だった。
しかし、そんな蛙は蛇の手を振り払い逃走する。
何故か顔を真っ赤に染めながら…
その人の心を、スザクはまだ、分からないまま…
=続=
**あとがき**
発展が遅くてすみませんな物。
スザクが一歩間違うとストー…(殴)
凄い前に書いたくせに、電○に嵌ったお陰で放置されていた第三話。
恨むなら鈴でも恨んでおいてくださ…(殴)
08.01.04